備後絣との出会いは、百貨店勤務時代に備後絣の機屋さんの展示会に伺った時でした。
私は地元福山の人間でありながら備後絣を見たことがありませんでしたがその展示会でこの素材の持つ素朴な風合い、藍染の何とも言えない色合いに魅力を感じました。
百貨店では30年以上衣料品を中心に担当しておりましたのでそれなりにいろんなものを見てきました。現在大量生産大量販売型のマスマーケットをターゲットにしたビジネスには同質化が起こっており、市場には同じような商品があふれ供給過剰になっています。
備後絣は日本三大絣(久留米絣、伊予絣、備後絣)の一つです。備後絣の事業者さんはピーク時には200数十社の事業者があり日本の絣の生産の7割を備後絣が占めていたとのことですが現在は2社のみとなっており、またここ数年で数社が2社になったようです。
備後織物は昔ながらのテンションをかけないシャトル織機で織られるため独特の風合いになります。そこが最大の魅力ですが大量生産できないので備後絣が市場にあふれることがありません。それ故とても希少価値が高い素材です。
私は2014年、退職したのと同時に備後絣をブランディングしようと決めました。そして2014年11月にカスリラを起業しました。カスリラは絣(かすり)+リラックスから名づけました。備後絣は江戸時代から160年以上の歴史を刻む福山を代表的する伝統産業であり日本の文化でもあります。ぜひ次の節目の200年にむけてもっと進化して永遠に残る産業になっていただきたいと思っています。カスリラ事業は本当に小さな事業でこの先どうなるかわかりませんがこの素材の良さを今の時代に必要とされるモノにして提案することが出来れば会社を継続できますし、そのことが備後絣の生産に貢献できることになると思っています。カスリラは備後絣がいつまでも残り続けることができるようにとの思いでモノづくりをしています。これは今後も変わりません。
起業以来、全国の百貨店で販売会をさせていただきましたが藍染、絣柄のファンが全国におられることがわかりました。回数を重ねるごとに全国にファンができつつあります。
このいろんな出会いの中で次世代の方がこの備後絣に魅力を感じてくれて新しい備後絣の開発や新しい絣アイテムの提案がされればそれが次の世代へのバトンタッチにつながり備後絣の継続につながると思っています。
カスリラの商品の完成度はまだまだですが備後絣の機屋さん2社のご協力を得て少しずつ進化していきたいと思っています。
カスリラ代表 三笠博司