STORY

備後絣とは?

160年を超える歴史を持つ、稀少性の高い織物。

江戸時代から160年間受け継がれた備後絣は日本三大絣の1つです。久留米絣・伊予絣と並ぶ、稀少性の高い織物です。広島県福山市芦田町で生まれました。
シャトル織機で織られているので独特の温かい風合いが魅力です。20工程を超える作業があり、手間暇をかけて作られていますので1反(約30メートル前後)が出来上がるのに時間がかかります。

備後絣は広巾の織機を使っているのも特徴の一つです。通常は着尺と呼ばれる巾ですが、備後絣は独自の発展を遂げ、広巾の織機で生産しています。広い巾で生産できることで、洋服などの型紙から生産がしやすく、多様性を持った商品展開が可能なのです。
昔は着物用の着巾も織っておりましたが、今は広巾のみです。現在備後絣を織っている織屋(はたや)さんは備後地区に2社のみになってしまい、とても貴重な素材になってしまいました。

タイムスリップしたかのような、レトロな工場で今もなお鳴り響く織機の音。

備後絣はとても多くの工程を経て生産されていきます。
整経→精錬→糊付け→括り→染め→水洗→ほどき→水洗→糊付け→乾燥→引き合わせ→経巻→織り
と非常に多くの工程を、全て熟練の職人が手作業で行なっています。全ての工程・作業に神経を張り巡らせて、職人たちが日夜生産しています。昔ながらの伝統を守りつつ、日々自分たちの技術を高めながら。そこに終わりはありません。その技術こそが財産なのです。
現代のスピードの速い織機と比べると生産量は少ないですが、昔ながらの織機による独特の風合いや温かみ、そして何より熟練した職人の誇りが備後絣には詰まっているのです。

紐で括って、藍で染め上げる。括った部分は染まらない。これで思い通りの柄を作っていく。

天日干しにして、糊付けを乾かす。雨が続くと全ての工程に支障が出てしまう。

備後絣のこれから。

備後絣は現在では2社のみが生産しています。手作業で職人たちが生産する備後絣は徐々に職人の数も減って来ています。年齢的に辞めざるを得ない状況もあります。
しかしながら私たちは、この誇れる地元の特産を後世まで残していきたいと考えています。昔ながらの技術で作られる備後絣は、しっかりとした風合いのある実用的な生地です。元々ほとんどが「もんぺ」の用途として使われていました。それだけ通気性もあり、しっかりとした生地だったということです。
また、使うたびに柄が綺麗に出て、古くなっても古布としての味わいのあるものに育っていきます。これは化学繊維でできているものにはない、日本固有の味わいです。
備後絣は、天候にも左右される、アナログな布ですが、他にない独特の味わいを持った素材なのです。季節に合わせた柄の展開や、お客様に合う製品をこれからも備後絣は作り続けていきます。

そこには、大量生産のこの時代に、この素晴らしい地元の特産素材を残していきたいとの想いがあるからです。

備後絣の特徴

中空洞の糸で、夏は涼しく、冬は暖かく。

備後絣は、吸湿性に優れているので夏は涼しく、また冬は繊維の中心部が空洞になっているので暖かい空気が放出されにくいため、暖かくお使いいただけます。また、綿100%なので着れば着るほど肌に馴染み、肌触りとその風合いに一層愛着が増していきます。

丈夫な素材なので、お洗濯にも強く、洗うごとに藍の冴えが増し、その素朴さがたまらない魅力を生み出します。

糸の染め方は藍染(天然藍と化学染料を混ぜている)、柿渋染、墨染と、3種類の染め方をしており、
これらの糸を使って独特の柄を創造しています。
代表的な柄は絣柄(かすりがら)ですが、縞柄(しまがら)、格子柄(こうしがら)などがあり、お好みでお選びいただけます。2社で無地も含めると150柄あります。カスリラはこれらの素材を使って備後絣をブランディングしております。

カスリラは備後絣(びんごがすり)の良さを、一人でもたくさんの方に伝えたいと思っております。